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MST(DisplayPort Multi-Stream Transport / マルチストリーム デイジーチェーン)

VESA が DisplayPort 1.2 で追加した MST(Multi-Stream Transport)と、その上で 1 本の DP / USB-C ケーブルから複数モニターを連結する『デイジーチェーン』について、VESA の一次情報のみから整理します。DSC との関係、対応バージョン、ゲーミング モニター 購入時に確認すべき点も併記します。

GLOSSARY

用語の概要

別表記 MSTMulti-Stream TransportDisplayPort MSTDP MSTマルチストリーム トランスポートDisplayPort デイジーチェーンDP デイジーチェーンデイジーチェーンdaisy chainSSTSingle-Stream Transport

関連用語
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出典
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最終更新
DEFINITION

解説

MST(Multi-Stream Transport / マルチストリーム トランスポート) は、VESA が DisplayPort 1.2 で追加した、1 本の DisplayPort ケーブル上に 複数の独立した映像 / 音声ストリーム を同時に伝送する仕組みです。VESA 公式プレスリリース(VESA — DisplayPort v1.2)は次のように説明しています。

DisplayPort v1.2 supports “multi-streaming”—the ability to transport multiple independent uncompressed display and audio streams over a single cable

This enables the use of multiple monitors connected by cable in a daisy chain or hub configuration.

MST は、いわゆる DisplayPort デイジーチェーン(モニター A → モニター B → モニター C … と数珠つなぎ)と、MST ハブ(1 本の DP を分岐して複数モニターへ)の双方の基盤となる規格です。これに対し、従来の 1 本の DP に 1 系統の映像しか乗せない構成は SST(Single-Stream Transport) と呼ばれます。

DisplayPort バージョン別の MST / 帯域

DP バージョン公開リンクレート(4 レーン合計)MST代表的な 4K / WQHD MST 例
DP 1.22009-12HBR2 = 21.6 GbpsMST 初対応4K UHD × 1 + Full HD × 1 など(VESA 公式: “two such monitors with one cable, or four 1920 x 1200 monitors”)
DP 1.32014-09HBR3 = 32.4 GbpsVESA 公式: “simultaneous use of two 4K UHD monitors, each with a pixel resolution of 3840×2160”(VESA — DP 1.4 公式
DP 1.4 / 1.4a2016-03 / 2018-04HBR3 = 32.4 Gbps(+ DSC)DSC 併用 で 8Kp60 HDR / 4Kp120 HDR が選択肢に
DP 2.0 / 2.1 / 2.1a / 2.1b2019-06 〜 2025UHBR10 / UHBR13.5 / UHBR20 = 80 Gbps(+ DSC)UHBR20 + DSC で 4K 240Hz+ や 8K 60Hz 級も 1 本に

VESA 公式(VESA — DP 2.1 公式)の数値は次のとおりです。

VESA certified DP40 cables support up to the UHBR10 link rate (10 Gbps), with four lanes, providing a maximum throughput of 40 Gbps

VESA certified DP80 cables support up to the UHBR20 link rate (20 Gbps), with four lanes, providing a maximum throughput of 80 Gbps

DSC(Display Stream Compression)との関係

DP 1.4 以降では、MST デイジーチェーン に [[dsc|DSC(Display Stream Compression)]] を組み合わせることで、1 本の DP に乗せられる ピクセル/秒 を大きく拡張できます。VESA 公式(VESA — DP 1.4 公式)は DSC を次のように説明しています。

DSC version 1.2 transport enables up to 3:1 compression ratio and has been deemed, through VESA membership testing, to be visually lossless.

DP 2.1 でも DSC は引き続き必須機能として位置付けられています。VESA 公式(VESA — DP 2.1 公式)の表現は次のとおりです。

DSC bitstream support can reduce DisplayPort transport bandwidth in excess of 67 percent without visual artifacts

実装上は、上流ソース(GPU / SoC)と中継モニター(デイジーチェーン MST 中継機能を持つ機種)と末端モニターの 3 者すべてが DSC + MST を正しく扱える ことが条件で、いずれかが SST しか持たない場合はその箇所でデイジーチェーンが切れます。

「デイジーチェーン対応モニター」の条件(VESA 規定の整理)

DisplayPort デイジーチェーン を成立させるには、製品仕様上 次の 3 点が揃う必要があります(VESA — DP v1.2 公式 / VESA — DP 1.4 公式)。

  1. ソース側(PC / GPU / ノート)が MST 出力に対応 している。

  2. 中継モニターに DP-out(または USB-C DP Alt の MST 中継)端子が物理的に存在 し、メーカー仕様上 MST 中継対応 と明示されている。

  3. 接続経路全体(ケーブル含む)の帯域 が、合計画素数 × リフレッシュレート × ビット深度(+ DSC 圧縮率)の合計を上回っている。

  4. の帯域試算は VESA 公式の数値(DP 1.4 = 32.4 Gbps、DP 2.1 UHBR20 = 80 Gbps、DSC は最大で帯域を 67% 超 削減)を基準に行う必要があり、ユーザー側で「対応モニター 2 枚=必ず動く」と推定することはできません。

USB-C / Thunderbolt 経由の MST デイジーチェーン

近年のゲーミング / クリエイティブ モニターには、USB-C(DP Alt モード)入力 + DP-out / USB-C 出力 を持ち、ノート PC やデスクトップ から 1 本の USB-C だけで 2 〜 3 枚 のモニターを連ねる構成(USB-C MST デイジーチェーン)も増えてきています。

  • USB-C 経由の場合、[[usb-c-pd|USB-C Power Delivery]] による給電・[[thunderbolt-5-vs-thunderbolt-4|Thunderbolt 4 / 5]] の DisplayPort トンネルとも併存します。
  • macOS は歴史的に Apple Silicon 世代まで DP MST デイジーチェーン に対する制約があり、製品仕様の「対応 OS」欄の確認が必要です(Windows のみ対応として記載される製品があるのはこのため)。
  • 本サイトの製品 DB は、DP-out 端子 / MST 中継対応 を メーカー公式 product page に明示記載がある機種のみ仕様欄に記録し、AI による推定生成は行いません。

DP 2.1b / DP80LL アクティブケーブル(2025-01-06 アナウンス)

VESA は 2025-01-06 に DP 2.1b 仕様 と DP80LL(Low-Loss)アクティブケーブル のアナウンスを行っています(VESA — DP 2.1b / DP80LL 公式アナウンス)。同アナウンスは UHBR20(80 Gbps)を 最長 3m のアクティブ ケーブル で運用可能にする内容で、DSC を併用する MST デイジーチェーン(4K 240Hz 級 × 2 など)でも、ケーブル長 起因の リトレーニング を避けやすくなる方向の改定です。

ただし、DP80LL は アクティブ ケーブル 認証 の 追加 であり、MST / デイジーチェーン 自体の最大画面数や仕様レベル を引き上げるものではありません。

ゲーミング モニター 購入時に意識する点

1. 「USB-C 入力対応」 と 「MST デイジーチェーン 対応」 は別物。 USB-C 入力(DP Alt 受け側)があっても、DP-out 端子 が物理的にない・あるいは メーカー仕様上 MST 中継対応 が明示されていない モニター は、ノート PC からの 1 本接続を 2 枚目に 中継 できません。

2. デイジーチェーン 2 枚目以降の解像度 / リフレッシュレート は 帯域配分で決まる。 DP 1.4 + DSC、DP 2.1 UHBR20 など、上流の帯域に応じて 2 枚目以降が 4K 60Hz / WQHD 144Hz / Full HD 240Hz など 段階的に下がるケースがあります。VESA 公式の合計帯域(DP 1.4 = 32.4 Gbps、UHBR20 = 80 Gbps)を基準に、メーカー公式の組み合わせ表 を確認してから購入してください(推定生成は行いません)。

3. ゲーミング用途(HDR / VRR / 高リフレッシュレート)と MST の同時運用は メーカー検証範囲を確認。 [[hdr|HDR]] / [[hdr10-plus-gaming|HDR10+ Gaming]] / [[dolby-vision-gaming|Dolby Vision Gaming]] / [[adaptive-sync|Adaptive-Sync / VRR]] のような上位 ゲーム 機能 と、MST デイジーチェーン の同時動作 は、モニター個別の検証範囲に依存します。本サイトの仕様欄は メーカー公式 product page に 明示記載 がある機能のみを記録します。

4. ハブ構成(MST ハブ)と デイジーチェーン(DP-out 連結)は別実装。 MST ハブ(外付け)と、モニター内蔵 の DP-out(MST 中継)は、ともに VESA DP 1.2 以降の MST 機能 を使いますが、製品仕様としてのサポート可否 は別管理 です(ハブが動いても、特定のモニター モデルで DP-out からの 2 枚目が認識されない事例 があり、メーカー検証一覧の確認が必要)。

本サイトの製品 DB / 比較ページでの扱い

本サイトの製品 DB は、メーカー公式 product page の「DisplayPort 出力 / DP-out 端子」「MST 対応」「デイジーチェーン 対応」欄に 明示記載 のある機種のみ、対応として spec_source 付きで記録します。DisplayPort 入力端子 / USB-C 入力端子 の存在 を理由に MST 中継対応 を 推定生成 することは行いません。MST デイジーチェーン の実動(2 枚目 / 3 枚目 の 解像度 × リフレッシュレート の上限 / HDR / VRR との同時動作)は GPU + ドライバ + モニター × N + ケーブル + OS の 5 点が揃って 初めて成立 するレイヤ で、本サイトの 守備範囲外 として明示します([[dsc|DSC]] / [[displayport-21-uhbr-modes|DisplayPort 2.1 UHBR モード]] / [[hdmi-22-ultra96-lip|HDMI 2.2 Ultra96 / LIP]] と同じ整理)。

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