用語の概要
別表記 HDR10+ GAMINGHDR10 Plus GamingHDR10+ ゲーミングSource Side Tone MappingSSTMソースサイド トーンマッピングLow Latency Source Tone MappingHDR10+ TechnologiesHDR10+ 自動キャリブレーション
- カテゴリ
- ゲーミングモニター
- 関連用語
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解説
HDR10+ Gaming(HDR10+ GAMING) は、HDR10+ Technologies LLC(HDR10+ 公式)がゲーム向けに策定した HDR10+ の拡張仕様です。HDR10+ Technologies LLC は HDR10+ 規格 全般を管轄するライセンス団体で、HDR10+ Gaming は CES 2022 に合わせて発表されました(Samsung 公式プレスリリース 2021-12-23)。
[[hdr|HDR10 / HDR10+]] と異なり、HDR10+ Gaming は ゲーム エンジン(ソース)側でリアルタイムにトーンマッピングを行う ことを前提に設計されています。ゲーミングモニター / TV の仕様欄に「HDR10+ GAMING」「HDR10+ Gaming 対応」と記載される場合、本ページで整理する仕様準拠を意味します。
主な仕様要素(一次情報の引用)
1. Source-Side Tone Mapping(SSTM)
HDR10+ Gaming の中核は、HDR トーンマッピングをディスプレイ側ではなくゲーム エンジン側(ソース側)で行う 設計です。これによりトーンマッピング処理に起因する余計な表示遅延を最小化することを狙います。
NVIDIA は HDR10+ Gaming 対応 Game Ready Driver の発表(NVIDIA 公式 GeForce News 2022-11-16)で次のように説明しています。
games and other content can query HDR luminance and color information directly from the display to perform dynamic tone mapping that is optimal for each display’s HDR capabilities
ゲーム側からディスプレイの HDR 輝度・色情報を直接照会 し、その表示に最適なダイナミック トーンマッピングを ゲーム エンジン側 で実行する、というアーキテクチャです。
2. 自動 HDR キャリブレーション(Automated HDR Calibration)
HDR10+ Gaming 対応 ディスプレイは、自機のパネル特性をゲーム側の HDR10+ 処理ブロックへ受け渡し、ゲーム側が 手動キャリブレーション なしで HDR 出力を最適化します。Samsung 公式(Samsung Newsroom UK 2021-12-23)は次のように述べています。
automated HDR calibration that provides stunning picture quality
the game engine automatically optimises video game content in real-time
ゲームを起動するたびに ユーザー が手動で HDR 輝度スライダーを調整する必要を なくす方向の設計です([[hdr|HDR / HDR10]] / [[displayhdr|VESA DisplayHDR]] と組み合わせて用いられます)。
3. VRR(Variable Refresh Rate)と 120Hz 以上の対応
Samsung 公式(Samsung Newsroom UK 2021-12-23)は HDR10+ Gaming の特徴を次のように記載しています。
HDR10+ GAMING support for hassle-free, accurate HDR gameplay experience with low-latency, VRR (Variable Refresh Rate), and over 120Hz.
低遅延 + VRR + 120Hz 超 が公式に組み合わせとして整理されており、[[adaptive-sync|Adaptive-Sync / VRR]] / [[gsync|G-SYNC]] / [[freesync|FreeSync]] と同時に動作することが前提です(VRR 動作時の輝度ちらつきは [[vrr-flicker|VRR フリッカ]] を参照)。
4. NVIDIA GeForce RTX / GTX 16 Series の対応
Samsung 発表時点(2021-12-23)で、NVIDIA は HDR10+ Gaming への対応を表明しています(Samsung Newsroom UK)。
NVIDIA GeForce RTX 30 Series, RTX 20 Series, and GTX 16 Series GPUs will support the HDR10+ GAMING standard with drivers scheduled for release in 2022.
実装は 2022 年 11 月 16 日の Game Ready Driver で公式化されました(NVIDIA GeForce News 2022-11-16)。
HDR10+ GAMING standard is now supported on GeForce RTX and GeForce GTX 16 Series graphics cards and laptops.
Using our new NVAPI v2 HDR instructions, developers can add HDR10+ to their games.
ゲーム開発者は NVIDIA の NVAPI v2 HDR を介して HDR10+ 出力を組み込む、というのが NVIDIA 側の公式実装ルートです。
HDR10 / HDR10+ / Dolby Vision との位置関係
| HDR 規格 | メタデータ | トーンマッピング所在 | ゲーム動作 |
|---|---|---|---|
| HDR10 | 静的 メタデータ(全編固定) | ディスプレイ側 | 標準対応 |
| HDR10+ | 動的 メタデータ(シーン単位) | ディスプレイ側(受け取った動的メタデータに従う) | 主に映像コンテンツ向け |
| HDR10+ Gaming | 動的 + リアルタイム | ソース(ゲーム エンジン)側 | ゲーム特化(VRR / 120Hz / 低遅延) |
| Dolby Vision Gaming | 動的 メタデータ | ディスプレイ側 | ゲーム向け(別規格・別ライセンス) |
HDR10+ Gaming は HDR10+ ファミリの ゲーム向け 拡張 で、競合の Dolby Vision Gaming(Xbox Series X / S が対応)とは別系統のライセンスです。ゲーミングモニター が両方に同時対応するとは限らず、メーカー公式 product page の HDR 対応欄に明示記載があるかで判断する必要があります。
HDR10+ Gaming の機能は、[[hdmi-21-allm-qms-qft|HDMI 2.1 ALLM / VRR / QMS / QFT]] / [[hdmi-22-ultra96-lip|HDMI 2.2 / Ultra96 / LIP]] / [[displayport-21-uhbr-modes|DisplayPort 2.1 UHBR モード]] の 物理層 + ゲーミング機能 の上に乗る メタデータ層 + ソース側 トーンマッピング層 であり、両者は競合しません。
ゲーミングモニター購入時に意識する点
1. HDR10+ Gaming 対応 = HDR10+ メタデータ対応 とは限らない。 HDR10+ Gaming は HDR10+ Technologies LLC の ゲーム向け 拡張仕様 で、メーカー公式 product page で 「HDR10+ GAMING 対応」 と明示されている機種のみが対応とみなせます。「HDR10+」 とだけ記載されている場合、映像コンテンツ向けの HDR10+ 動的メタデータ対応であり、HDR10+ Gaming の自動キャリブレーション や Source-Side Tone Mapping を意味するとは限りません。
2. GPU 側 NVAPI v2 HDR 対応も必要。 ゲーム側で HDR10+ Gaming を出力するには、NVIDIA は GeForce RTX 系 / GTX 16 Series + 対応 Game Ready Driver を前提としています(NVIDIA 公式)。AMD Radeon / Intel Arc 側の HDR10+ Gaming 実装可否は本サイトでは GPU 側スペック確認の必要を本文中で明示し、AI で機種別 / ドライバ別 推定生成は行いません。
3. ゲーム タイトル側の対応も必要。 HDR10+ Gaming は ゲーム エンジン側 で Source-Side Tone Mapping を実行するため、タイトル側 が HDR10+ Gaming 出力に対応する必要 があります。HDR10+ Technologies LLC の公式サイト(HDR10+ 公式)は対応タイトル例(例: Hell is Us / Borderlands 4 / Cyberpunk 2077 / EA SPORTS F1 25)を案内しています。
4. Dolby Vision Gaming との 機種別 排他性。 HDR10+ Gaming と Dolby Vision Gaming は別系統のライセンスで、機種ごとに対応の有無が異なります。本サイトの製品 DB は、メーカー公式 product page の HDR 対応欄に明示記載があるブランドのみ反映し、推定では記録しません。
本サイトの製品 DB / 比較ページでの扱い
本サイトの製品 DB は、メーカー公式 product page の HDR 対応欄 に記載されている表現(例: 「HDR10+ GAMING」「HDR10 / HDR10+」「VESA DisplayHDR 600」など)を そのまま spec_source 付きで記録 し、AI で HDR10+ Gaming 対応を推定生成することは行いません。
- HDR10+ Gaming 明記がない場合 — メーカー公式が 「HDR10」 / 「HDR10+」 のみ記載で 「HDR10+ GAMING」 を明示していない場合、本サイトは HDR10+ Gaming 対応を「明示なし」として扱います。
- DisplayHDR と HDR10+ Gaming は層が異なる — VESA DisplayHDR([[displayhdr|VESA DisplayHDR]])は ピーク輝度 / 黒輝度 / 色域 / リフレッシュ動作 の ハード ウェア 認証 であり、HDR10+ Gaming は メタデータ + ソース側 トーンマッピング層 の機能です。両者を 「同じ HDR スコア」 として 横断比較 することは避け、独立軸として扱います。
- Dolby Vision Gaming は別エントリ — 競合の Dolby Vision Gaming(Xbox Series X / S が対応)に関する仕様は本エントリでは扱わず、メーカー公式記載がある製品 DB のみで反映します。
関連用語
- [[hdr|HDR / HDR10]] — HDR10+ Gaming の土台となる静的メタデータ HDR
- [[displayhdr|VESA DisplayHDR]] — ハードウェア HDR 認証(ピーク輝度 / 黒輝度 / 色域)
- [[color-gamut|色域]] — HDR10+ Gaming で再現するカラーボリュームの基礎
- [[color-depth-10bit-frc|色深度(10-bit / 8-bit + FRC)]] — HDR10+ の動的メタデータが活きる前提
- [[mini-led-local-dimming|Mini-LED / ローカル ディミング]] — HDR ピーク輝度 / コントラスト の主実装
- [[oled-panel|OLED パネル]] — 自発光 OLED と HDR10+ Gaming の組み合わせ
- [[abl-asbl-tpc|ABL / ASBL / TPC]] — OLED の HDR 持続輝度制御
- [[brightness-nits-cdm2|輝度(nits / cd/m²)]] — HDR10+ Gaming トーンマッピングの基準
- [[adaptive-sync|Adaptive-Sync / VRR]] — HDR10+ Gaming が前提とする VRR
- [[gsync|G-SYNC]] / [[freesync|FreeSync]] — VRR 実装系譜
- [[vrr-flicker|VRR フリッカ]] — VRR + HDR 動作時に発生し得る輝度ちらつき
- [[hdmi-21-allm-qms-qft|HDMI 2.1 ALLM / VRR / QMS / QFT]] — HDMI 側ゲーミング機能群
- [[hdmi-22-ultra96-lip|HDMI 2.2 / Ultra96 / LIP]] — HDMI 側 次世代 規格
- [[displayport-21-uhbr-modes|DisplayPort 2.1 UHBR モード]] — DisplayPort 側 高速 リンクレート群
- [[input-lag|入力遅延 / Input Lag]] — Source-Side Tone Mapping が抑えたい遅延要素
- [[refresh-rate|リフレッシュレート]] — HDR10+ Gaming が前提とする 120Hz 超
選び方・ランキングで活用する
参照元(一次ソース)
本用語の説明は次の一次ソース(規格団体・メーカー公式資料など)を参照しています。
- 出典: HDR10+ Technologies LLC — 公式サイト(HDR10+ Gaming 紹介)
- 出典: Samsung Newsroom UK — Samsung Electronics Delivers Premium HDR Gameplay with HDR10+ GAMING Standard Support for Its New Screens(2021-12-23 発表)
- 出典: Samsung Global Newsroom — Samsung Electronics Delivers Premium HDR Gameplay With HDR10+ GAMING Standard Support for Its New Screens
- 出典: NVIDIA GeForce News — GeForce RTX 4080 Game Ready Driver(2022-11-16 公開・HDR10+ GAMING / NVAPI v2 HDR 発表)