用語の概要
別表記 フレームタイムFrametimeFrame Time1% Low1% Low FPS0.1% Low0.1% Low FPSP11% percentile1パーセンタイルP0.10.1% percentile0.1パーセンタイルP0.2x% low averagex% low integral1% low integralフレームペーシングFrame Pacingframetime variancestutterスタッターmin FPSminimum FPS
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- ゲーミングPC/BTO
- 関連用語
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解説
ゲーミング PC やゲーミングモニターのレビュー記事でよく目にする 「平均 FPS / 1% Low / 0.1% Low」 という三段の数値は、ゲームの 滑らかさ を定量化するための指標群です。本サイトの製品DBでは AI が FPS / 1% Low を生成することは一切なく、独自ベンチマークも掲載しません。ここでは 指標が何を測っているか・どのツールが計測しているか を整理します。
フレームタイム(Frametime)― すべての出発点
フレームタイム は、ディスプレイに送り出される 1 フレームと次のフレームの 間隔(ミリ秒) です。CapFrameX 公式は次のように定義しています(CapFrameX — Explanation of different performance metrics)。
time intervals between the individual images
FPS との関係は FPS = 1000 / frametime で、たとえば 16.67ms のフレームタイムは 60 FPS、6.94ms は 144 FPS、4.17ms は 240 FPS に相当します。
ベンチマークは内部的に 「フレームごとの時刻スタンプの列」 を Windows の Present API / DXGI 経由で記録し、その差分から frametime 列を作り、そこから平均 FPS や各種パーセンタイルを導出します。本サイトの製品DBで参照する第三者ベンチマーク(GamersNexus 等)も、原理は同じです。
平均 FPS(Average FPS)と最小 FPS(min FPS)の限界
平均 FPS はもっとも一般的な指標で、CapFrameX 公式の定義によれば次のものです(CapFrameX)。
Average FPS — The mean of all measured FPS values, nearly equal to the median when a game runs generally smooth.
しかし、ゲームが 時々大きくカクつく(スタッターする) 場合でも、平均値は大きくは下がらないことがあります。レビュー記事で「平均 FPS は高いのに遊んでみるとガクつく」と感じる原因がこれです。
一方の 最小 FPS(min FPS) は、計測中に最も低かった 1 フレームの値です。外れ値(OS のディスクキャッシュフラッシュ・バックグラウンドアプリのスパイクなど)に過剰に反応する ため、最近のレビューでは min FPS は徐々に使われなくなりつつあります。CapFrameX 公式もこの点を次のように説明します(CapFrameX)。
percentiles are used in benchmarks to deliberately set a boundary above which values are ignored, which is especially useful for the “min FPS” values that were often used in the past, which are increasingly replaced by the 1st percentile.
この置き換え先が 1% Low / 0.1% Low です。
1% Low / 0.1% Low ― 「カクつき」を捉える低位パーセンタイル
GamersNexus 方式(業界で最も広く知られる定義)
独立検証メディア GamersNexus 公式メソドロジー は次のように定義しています。
1% Low refers to the average framerate of the slowest 1% of frames within a certain period of time, while 0.1% low represents the worst tenth of a percent.
つまり「最も遅い 1% のフレーム群の 平均 FPS を取った値」が 1% Low、「最も遅い 0.1% のフレーム群の平均 FPS」が 0.1% Low です。
平均 FPS と 1% Low の 差が大きいほど、カクつきが目立つ という解釈になります。これは ASUS ROG の解説も同様です(ASUS ROG — What are 1% Lows?)。
CapFrameX の 2 系統 ― 「percentile」と「low integral」
ベンチマークツール CapFrameX は、似て非なる 2 種類の『1% Low』 を区別しています。
(1) 1% Percentile(P1)
the value for which X% of all remaining values are smaller than this
これは厳密な統計学のパーセンタイル定義です。「下から 1% に位置する 1 個の値」 を返します(全フレームのうち下から 1% のラインを引き、その境界値が P1)。
(2) 1% Low Integral(CapFrameX 1.7.0 で新規導入)
frametimes get sorted … the converted FPS value of the frame that reached or exceeded that 200ms spot, will be the 1% low
これは frametime をソートし、累積で下位 1% に達した時点のフレームの FPS を返します。意味的には 「測定時間の 99% で X FPS 以上を維持できた」 と読める指標で、CapFrameX は「above X FPS 99% of the time」と表現できる、と説明します。
レビュー記事や YouTube ベンチマーク動画で「1% Low」と書かれていても、どちらの方式で算出されたかは媒体ごとに異なる 点に注意が必要です(多くの場合は GamersNexus 方式に近い「下位 1% の平均 FPS」が暗黙の前提)。
0.1% Low と更に下位のパーセンタイル
CapFrameX 公式は、より低位のパーセンタイルを使う場合の サンプル数下限 にも言及しています(CapFrameX)。
P0.2 or even P0.1 … requires more than 1000 frames for meaningful data
0.1% Low は 「1000 フレーム超のキャプチャ」が前提 の指標で、短時間ベンチでは統計的に意味を持ちません。GamersNexus も標準で 1% Low と 0.1% Low をセットで報告する運用です。
95th percentile frametime(NVIDIA FrameView 方式)
NVIDIA 公式の FrameView Beta User Guide は frametime 側のパーセンタイル を使う方式を解説しています。
A 95th percentile frametime is the value below which 95% of the frametimes are found. For example, if the dataset has a rendered frametime 95th percentile of 16.67ms, then 95% of the frames were rendered faster than 16.67ms.
frametime ベースの 95th percentile は 「下から 95% のフレームが何ミリ秒以内で描画できたか」 を表し、FPS ベースの 5% Low と概念的に表裏一体の関係にあります(小さいほど良い指標として読みます)。
フレームペーシング(Frame Pacing)― フレーム間隔の一貫性
フレームペーシング は、frametime の 個々の値の絶対水準 ではなく、隣り合うフレーム間隔のばらつき(一貫性) を見る考え方です(Digital Citizen — How to Read and Interpret Frame Time Graphs)。
たとえば平均 60 FPS のゲームでも、
- フレームタイムが 常に 16.67ms 付近 で安定 → 体感は非常に滑らか
- フレームタイムが 8ms と 33ms を交互に往復 → 平均は 16.67ms(≒60 FPS)でも「マイクロスタッター」として知覚
の 2 ケースは、FPS の平均だけからは見分けがつきません。Digital Citizen の解説は frametime グラフを使って、「縦軸のスパイクが頻発するゲーム=フレームペーシングが悪い」 という読み方を示しています。
可変リフレッシュレート([[gsync|G-SYNC]] / [[freesync|FreeSync]] / [[adaptive-sync|VESA Adaptive-Sync]])の対応モニターは、frametime の揺らぎをそのままリフレッシュサイクルに反映できるため、「平均 FPS が同じでも tearing なし・stutter 体感が小さい」 という利点が出ます。
キャプチャツールのエコシステム ― すべて PresentMon 系
業界で使われている主要な frametime キャプチャツールは、ほぼすべて Intel(旧 GPUOpen)の PresentMon をベース、または同じ Windows Present API / DXGI 経由のフックを利用しています。
| ツール | 提供元 | ベース / 備考 |
|---|---|---|
| PresentMon | Intel(旧 Microsoft) | 業界標準。ETW(Event Tracing for Windows)+ Present API。最新版は Frame Generation 対応を強化(overclock3d) |
| FrameView | NVIDIA | PresentMon ベース + 電力 / 効率指標(NVIDIA 公式 PDF) |
| OCAT(Open Capture and Analytics Tool) | AMD | PresentMon ベース。GPUOpen 配布 |
| CapFrameX | CXWorld(コミュニティ) | PresentMon ベース。GUI + percentile / integral 算出(CapFrameX 公式 / GitHub) |
| MangoHud | flightlessmango / コミュニティ | Linux / Vulkan / Wayland 環境向けオーバーレイ |
| Frame-Time-Analysis | BoringBoredom | 上記ツール出力 CSV を可視化する Web アプリ(GitHub) |
Frame-Time-Analysis の説明にあるとおり、PresentMon / OCAT / FrameView / CapFrameX / GeForce Experience / MangoHud いずれの CSV も同じ web アプリで比較可能 で、計測ベースは事実上業界共通となっています。
Frame Generation 時代の計測課題
DLSS Frame Generation([[gaming-pc-dlss-4-5-dynamic-multi-frame-generation-6x-2nd-gen-transformer]])/ FSR Frame Generation / [[gaming-pc-intel-xess-3-sdk-xess-fg-frame-generation-xell-low-latency-battlemage|XeSS Frame Generation]] のような AI 補間フレーム生成 が普及し、画面に表示される FPS と、ユーザー入力が反映される実質 FPS(「ベース FPS」) が乖離する状況が増えました。
Intel は 2024〜2025 年に PresentMon を Frame Generation 時代に対応させる更新を行い、「Displayed FPS」「Application FPS」「Click-to-Photon Latency」 といったメトリクスを区別できるようにしています(overclock3d — Intel upgrades PresentMon for the Frame Generation age)。
このため、Frame Generation を有効にしたベンチ結果を解釈する際は、「FPS が 2x / 4x になった = レイテンシも 2x / 4x 改善」ではない 点に注意し、[[nvidia-reflex-2-frame-warp|NVIDIA Reflex 2 / Frame Warp]] などのレイテンシ低減技術と組み合わせて評価する必要があります。
モニター側で関係する指標
ゲーミングモニターのレビューで使われる以下の指標は、いずれも frametime / フレームペーシングと関係します。
- [[refresh-rate|リフレッシュレート]](Hz) — ディスプレイが 1 秒間にパネルを書き換える上限。240Hz パネルは 1/240 = 4.17ms 単位の更新が可能。frametime がこれより短い場合、超過分のフレームは廃棄(Vsync OFF)か待機(Vsync ON)になる
- [[response-time|応答速度]](ms / GtG / [[mprt-vs-gtg|MPRT]]) — 1 ピクセルの輝度遷移時間。frametime と組み合わさり「動いている物の明瞭度」を決める
- [[input-lag|入力遅延]](ms) — クリック→画面反映までの総時間。CPU 処理 + GPU 描画 + ディスプレイ表示の合計
- [[vrr-range-lfc|VRR 範囲 / LFC]] — frametime が大きく揺らぐ範囲を可変リフレッシュでカバーできるかどうかの上下限
- [[vrr-flicker|VRR フリッカー]] — frametime が急変したとき、特に OLED で輝度が揺らぐ副作用
本サイトの記載基準
- AI が 個別ゲーム・個別 GPU・個別 CPU の FPS / 1% Low / 0.1% Low / 95th percentile frametime を生成することはありません。これらの数値はメーカー公式ベンチマーク / GamersNexus / Hardware Unboxed / TechPowerUp / Digital Foundry 等の 第三者ベンチを出典 URL 付き で参照する場合のみ用います
- 編集部独自のベンチマーク実測は実施しません(再現可能な計測環境・固定ドライバ・温度管理が必要で、本サイトの守備範囲外)
- 「1% Low が業界最高」「最強のフレームペーシング」等の 最上級表現は使いません(個別シーン / ドライババージョン / OS バックグラウンド負荷で変動するため)
- ベンチマーク数値を引用する際は 算出方式(GamersNexus 方式の下位 1% 平均か、CapFrameX P1 か、low integral か、NVIDIA FrameView 95th percentile frametime か) を可能な限り明記します
- 「1% Low」表記が出典で曖昧な場合は、「下位 1% パーセンタイル相当」 と記載し、出典 URL を必ず付けます
関連用語
- [[refresh-rate|リフレッシュレート]] / [[response-time|応答速度]] / [[mprt-vs-gtg|MPRT vs GtG]] — モニター側の描画指標
- [[input-lag|入力遅延]] — frametime と独立に計測される、入力→表示までの総合遅延
- [[gsync|G-SYNC]] / [[freesync|FreeSync]] / [[adaptive-sync|Adaptive-Sync]] — frametime の揺らぎを許容する可変リフレッシュ技術
- [[vrr-range-lfc|VRR 範囲 / LFC]] / [[vrr-flicker|VRR フリッカー]] — VRR の上下限と副作用
- [[nvidia-reflex-2-frame-warp|NVIDIA Reflex 2 / Frame Warp]] — Frame Generation 環境での入力遅延補償
- [[dlss-fsr-xess|DLSS / FSR / XeSS(アップスケーリング)]] / [[driver-level-frame-generation|ドライバレベル Frame Generation]] — frametime の意味が変わる AI 技術
- [[gaming-pc-dlss-4-5-dynamic-multi-frame-generation-6x-2nd-gen-transformer|DLSS 4.5 Dynamic Multi Frame Generation]] / [[gaming-pc-intel-xess-3-sdk-xess-fg-frame-generation-xell-low-latency-battlemage|XeSS 3 Frame Generation]] — 各社の Frame Generation 実装
- [[gpu-class|GPU クラス]] / [[gpu-desktop-total-graphics-power|GPU TGP]] — frametime を決める GPU 側要因
- [[screen-tearing-vsync-fast-sync-enhanced-sync|画面ティアリング / Vsync]] — frametime とリフレッシュレートが噛み合わないときの症状
関連ガイド
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ランキング
参照元(一次ソース)
本用語の説明は次の一次ソース(規格団体・メーカー公式資料など)を参照しています。
- 出典: GamersNexus — Testing Methodology Explanations: 1% & 0.1% Lows, Delta T over Ambient(独立検証メディアの公式メソドロジー)
- 出典: CapFrameX — Explanation of different performance metrics(PresentMon 系キャプチャツール公式ブログ)
- 出典: CapFrameX 公式 — Features(PresentMon 系ツールの機能仕様)
- 出典: CapFrameX GitHub(CXWorld/CapFrameX オープンソースリポジトリ)
- 出典: NVIDIA — FrameView Beta User Guide(PDF・公式 frametime 95th percentile 定義)
- 出典: Intel — PresentMon 公式(業界共通のキャプチャ基盤・Frame Generation 対応の最新版)
- 出典: ASUS ROG — What are 1% Lows? How to monitor (and fix) stutters in your PC games(ハードウェアメーカー公式解説)
- 出典: Digital Citizen — How to Read and Interpret Frame Time Graphs to Fix Stutter in Games(frametime グラフ読解)
- 出典: Frame-Time-Analysis(BoringBoredom/Frame-Time-Analysis・PresentMon / OCAT / FrameView / CapFrameX / MangoHud / GeForce Experience 互換の解析 web app)
- 出典: overclock3d — Intel upgrades PresentMon for the Frame Generation age(業界誌・Frame Gen 時代の計測課題)