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MPRT と GtG の違い(モニター応答速度の2つの表記)

モニターのスペック表で見かける「1ms MPRT」と「1ms GtG(または 5ms GtG)」の違い。MPRT は同じフレームが網膜に滞留する時間(視認時間)、GtG は画素が階調を切り替える時間で、別々の指標を別々の条件で測ったものです。

GLOSSARY

用語の概要

別表記 MPRTMoving Picture Response TimeMotion Picture Response TimeGtG vs MPRTMPRT vs GtG1ms MPRT1ms GtG5ms GtGサンプル&ホールド

関連用語
13
出典
4
最終更新
DEFINITION

解説

ゲーミングモニターのスペック表では、応答速度の欄に 「1ms GtG」「5ms GtG」「1ms MPRT」 のように 2 種類の表記が混在することがあります。両者は 別々の指標別々の条件 で測った値であり、単純な大小比較ができないため、購入前にそれぞれの意味と読み方を整理しておく必要があります。

batch71 で本サイトの製品DB に追加された ASRock Phantom Gaming PG27QFT1B では、メーカー公式仕様に「1ms MPRT(5ms GtG)」と両方が併記されています。これは「GtG 指標では 5ms、MPRT 指標では 1ms」という意味で、矛盾している数値ではありません。

2 つの指標が測っている対象の違い

指標何を測っているか単位影響する要素
GtG(Gray to Gray)画素が「ある階調」から「別の階調」へ切り替わるのにかかる時間ミリ秒(ms)パネル方式・オーバードライブ設定
MPRT(Moving Picture Response Time)「同じフレーム」が網膜上に視認され続ける時間(サンプル&ホールド)ミリ秒(ms)リフレッシュレート・バックライトストロビング有無

第三者検証メディア Blur Busters の解説では、GtG は「画素遷移時間(pixel transition time)」、MPRT は「画素視認時間(pixel visibility time)」と整理されています(Blur Busters — GtG versus MPRT FAQ)。

つまり 2 つの指標は 異なる物理現象 を測っており、片方が小さくても、もう片方が大きいことは普通に起こり得ます。

GtG が小さくても動画ぼけが残る理由(サンプル&ホールド)

現代の液晶 / OLED モニターは、次のフレームが描画されるまで前のフレームを表示し続ける 「サンプル&ホールド型」表示です。視線が動く対象を追ったとき、網膜上で像が 時間方向にブラー されるため、GtG が瞬時(OLED 系では 0.03〜0.1ms)であっても 動画ぼけ(モーションブラー)が残ります。これは表示方式固有の現象で、GtG を 0ms にしても解消しません。

この「網膜上に像が留まる時間」を測ったのが MPRT です。

MPRT とリフレッシュレートの関係

ストロビング / BFI(黒挿入)を 使わない通常状態 では、MPRT は おおむねリフレッシュ間隔(1 / refresh_rate)に等しい とされています(Blur Busters FAQ)。

リフレッシュレートリフレッシュ間隔 = ストロビングなしの MPRT 目安
60 Hz約 16.7 ms
120 Hz約 8.3 ms
144 Hz約 6.9 ms
240 Hz約 4.2 ms
360 Hz約 2.8 ms
480 Hz約 2.1 ms

メーカーが公表する「1ms MPRT」のような小さな値は、多くの場合 バックライトストロビング(BFI / ULMB / DyAc / MBR 等)を有効にした条件下 での測定値です。ストロビングは黒挿入によりフレームの視認時間を短縮するため、MPRT を物理的に下げられますが、有効輝度の低下可変リフレッシュレートとの両立条件 などのトレードオフが伴います([[backlight-strobing-bfi|バックライト ストロビング / BFI]] を参照)。

VESA ClearMR — 動画ぼけ評価の業界標準

VESA は 2022 年 8 月に ClearMR Compliance Test Specification を策定し、デジタル高速度カメラを使った「clear pixels と blurry pixels の比率(CMR:Clear Motion Ratio)」で動画ぼけを定量化する手法を業界標準として公開しています(VESA ClearMR 公式アナウンス / SID Information Display — ClearMR 1.1 改訂)。たとえば ClearMR 7000 は CMR が 6500〜7500%(clear pixel が blurry pixel の 65〜75 倍)であることを示します。

VESA の認証テストでは バックライトストロビングは無効化 したうえで測定するルールが定められており、ストロビング機能を持つ製品と持たない製品の比較が公平に行えるようになっています(VESA 公式アナウンス)。CMR 値で公正に比較したい場合は、メーカーの MPRT / GtG 表記よりも ClearMR 認定値 を見るのが、現時点で最も標準化された指標です。

スペック表を読むときの実用ガイド

製品スペック表の応答速度欄を読むときは、次の順序で確認するのが安全です。

  1. GtG 値があるかを確認する(パネル本来の素の応答速度)
  2. MPRT 値があるか確認する(ストロビング有効時の見た目の応答速度であることが多い)
  3. 同じ GtG 値どうし、同じ MPRT 値どうし で比較する(GtG と MPRT を混ぜて比較しない)
  4. VESA ClearMR 認定の有無 を確認する(認定があれば横断比較に最も信頼できる)

1ms」という同じ数字でも、それが GtG なのか MPRT なのか で意味が大きく違います。MPRT 1ms はストロビング機能の存在を示すものであり、パネルそのものの応答速度が 1ms であることを意味するわけではありません。

本サイトの製品DB での扱い

本サイトの製品DB(spec_source 出典URL付き)では、メーカー公式仕様で 明記されている値のみ を引用しています。

  • GtG 値があれば response_time_gtg_ms 系の表記で記録
  • MPRT 値があれば併記して、メーカー公式仕様の表記をそのまま引用(例:「1ms MPRT (5ms GtG)」)
  • 編集部独自の実測値は記録しません([[clearmr|VESA ClearMR]] を参照)

たとえば batch71 で追加された ASRock PG27QFT1B(27 IPS WQHD 180Hz)は、メーカー公式仕様に 1ms MPRT(5ms GtG) と併記されており、本サイトでも同じ表記で記録しています。一方、ASRock PG32QFT は 1ms GtG + 1ms MPRT と両方を 1ms で表記しています。

関連用語

  • [[response-time|応答速度(GtG)]] — GtG の詳細とパネル方式別の傾向
  • [[backlight-strobing-bfi|バックライト ストロビング / BFI(ULMB / DyAc / Pulsar)]] — MPRT を物理的に短縮する仕組み
  • [[clearmr|ClearMR]] — VESA の動画ぼけ評価標準(CMR 値)
  • [[refresh-rate|リフレッシュレート]] — MPRT 下限はリフレッシュ間隔で決まる
  • [[oled-panel|OLED パネル]] / [[ips-panel|IPS パネル]] / [[va-panel|VA パネル]] — GtG の素性が異なるパネル方式
  • [[input-lag|入力遅延(インプットラグ)]] — 応答速度とは別軸の「指令から表示まで」の遅延
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