用語の概要
別表記 Mounting StyleMount StyleTray MountTop MountGasket MountDouble Gasket MountPlate MountPCB MountPlatelessSandwich MountBurger MountIntegrated PlateLeaf Spring Mountマウント方式トレイマウントトップマウントガスケットマウントダブルガスケット
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解説
キーボードのマウント方式(Mounting Style) とは、PCB とスイッチプレートを筐体(ケース)にどう固定するか の流派を指す用語です。完成品ゲーミングキーボードからカスタムキーボードまで、打鍵感と打鍵音を大きく左右する『構造側の設計選択』として位置づけられています。本ページでは現在の主流である Tray Mount / Top Mount / Gasket Mount の 3 系統と、Keychron / Wooting / Razer / SteelSeries の公式 spec で確認できる表記を整理します。ケースフォーム(Poron / PE / EPDM / シリコン) は 筐体内部の充填材、本ページのマウント方式は PCB / プレートそのものを筐体に固定する取り付け方 で、レイヤが異なります。
本ページは 業界一般理解+各社公式表記の総合 であり、編集部による打鍵音・打鍵感の実機計測値ではありません。マウント方式は単独で打鍵感を決めるものではなく、スイッチ・スタビ・キーキャップ・ケースフォーム・キーボードレイアウトと 複合 で決まる点に留意してください。
3 系統のマウント方式
| 方式 | 固定方法(業界一般理解) | 一般的な打鍵感(業界一般理解) | 代表機種 |
|---|---|---|---|
| Tray Mount(トレイマウント) | ボトムケース内側に立てた金属/樹脂スタンドオフに、PCB(またはプレート)を直接ネジ留めする | 固定点が剛性的で、ネジ位置近辺は硬く・離れた場所は柔らかく感じやすい(音の場所差も出やすい) | 大半の汎用完成品キーボード |
| Top Mount(トップマウント) | プレートを トップケース側 にネジ留めし、ボトムケースとは分離する | Tray より均一・Gasket よりしっかりした打鍵感。プレート材の剛性が打鍵感に直結 | カスタムキーボードの一部、ハイエンドプリビルドの一部 |
| Gasket Mount(ガスケットマウント) | プレート(または PCB アセンブリ)と筐体の間に ガスケット材(シリコン / Poron 等) を挟んで浮かせる | プレートが微小に上下動でき、底打ちの衝撃が逃げて柔らかい。いわゆる “thock” 寄り の音に振れやすいと一般に言われる | Keychron Q1 / Q1 Pro / Q1 Max、Wooting 80HE 等 |
同じ “Gasket Mount” でも、プレートだけをガスケットで挟むか/PCBA ごとガスケットで挟むか/プレートと PCBA を別レイヤで固定するか で挙動は異なります。後述の Keychron 流(Double Gasket Design)と Wooting 流(silicone gasket で PCBA + switch plate を一体ホールド)はその違いの典型です。
補助的なマウント方式(業界一般理解)
主流 3 系統以外にも、自作・カスタム界隈では次のような呼称が並走しています。完成品ゲーミングキーボードでは正面切って採用機種が少ないため、本サイトでは 完成品の公式 spec 表記で確認できるもの のみ取り上げます。
| 方式 | 固定方法(業界一般理解) |
|---|---|
| Plate Mount(プレートマウント) | プレートを筐体にネジ留めし、PCB はプレート側からスイッチに乗る形でホールドされる(PCB 側のネジ留めなし)。Tray / Top の派生として扱われることが多い |
| PCB Mount(PCB マウント) | プレートを省き、PCB を直接筐体に固定。スイッチの足が PCB のみで支持される |
| Plateless / Sandwich(プレートレス / サンドイッチ) | プレートを使わずに PCB を筐体で挟む構造。打鍵感が柔らかい方向に振れるが、スイッチの固定はソケット+PCB に依存 |
| Burger Mount(バーガーマウント) | プレートの上下両面にガスケットを置き、トップケースとボトムケースの両方で挟み込む派生形 |
| Integrated Plate(一体プレート) | プレートとトップケースが一体成型された剛性重視の構造(ヴィンテージカスタム派生) |
| Leaf Spring(リーフスプリングマウント) | プレートに延ばしたタブを筐体の溝に通して固定し、ネジ穴を減らす構造(カスタム派生) |
上記は 業界一般理解 であり、本ページは公式 spec で確認できる完成品キーボードの記述に重点を置いています。マウント方式の呼称はカスタムコミュニティ起源で標準化されていない用語が混在 するため、店頭・レビュー記事の表記揺れが多い領域です。
完成品ゲーミングキーボードの公式表記を並べる
数値や呼称を AI で生成せず、各メーカーの 公式 spec ページ表記 をそのまま引用します。
Keychron Q1 / Q1 Pro / Q1 Max — Double Gasket Design 公式
Keychron は Q1 / Q1 Pro / Q1 Max シリーズで『Double Gasket Design』として 2 層のガスケット構造 を公式に展開しています(Keychron 公式 Q1 Pro 製品ページ / Q1 V2)。
- プレート側のガスケット: プレートとケースの直接接触を Poron 製ガスケット で遮断
- トップ/ボトムケース間のシリコンパッド: 『silicone pads between the top and bottom cases』を追加し、金属同士の共振と接触音を遮断
- PC(ポリカーボネート)プレート: 公式に『flexible PC (Polycarbonate) plate』として、ガスケットの柔軟性をプレート材側でも増幅
- CNC 6063 aluminum case: 筐体は『6063 aluminum that is processed through CNC machined, polished, anodized, sandblasted』の総削り出しアルミ
- PCB-mounted screw-in stabilizers: スタビは『PCB-mounted screw-in stabilizers』で、スタビ単体は剛性側(詳細)
つまり Keychron は 『ガスケットを 1 層だけでなく、プレート側+トップ/ボトム間の 2 層に拡張した』 ことを公式に『Double Gasket』と命名し、ガスケットマウントを 2 段化 した流派です。
Wooting 80HE — silicone gasket で PCBA + switch plate をホールド 公式
Wooting 80HE は PCBA と switch plate を一体ホールドする silicone gasket を公式に明示しています(Wooting 80HE 公式 / 80HE - Gasket mount explained)。
『The PCBA and switch plate are held together by a silicone gasket. This absorbs impact, resulting in less noise and a softer feel when you type.』 (Wooting 80HE 公式『Gasket Mount』section)
『The Polycarbonate (PC) switch plate softens the overall typing experience by muting more of the higher frequencies and placing an emphasis on “thock”.』 (同 PC プレート section)
加えて 80HE モジュールには EPDM dampening foam が同梱され、筐体側 PCR ABS ケースの箱内容も『1× PCR ABS case (top and bottom pieces with EPDM foam)』と明示されています。Wooting は 『シリコン gasket で PCBA + プレートを一体クランプ + EPDM dampening foam で内部反響を抑える』 という、Keychron とは別流派のガスケットマウントを展開しています。
Wooting の gasket mount は PCBA まで一緒に浮かせる 点で、Keychron 流(プレートとケースの間にガスケット)とは構造が異なります。同じ “Gasket Mount” 表記でも実装は別物 という典型例です。
Razer Huntsman V3 Pro 8KHz — Aluminum Top Plate + dense foam layer 公式
Razer は Huntsman V3 Pro 8KHz の公式 spec ページで、マウント方式の呼称(Tray / Top / Gasket)を直接表記せず、『Aluminum Top Plate』と スイッチ直下の dense foam layer を強調しています(Razer Huntsman V3 Pro 8KHz 公式)。
『Individually lubricated to ensure extra-smooth actuation, each switch is seated in a dense foam layer to ensure a clean, muted typing acoustic that keeps you in your flow state.』
『Thick Foam Dampening and Lubricated Switches』
Razer 公式 spec に 『gasket mount』『tray mount』『top mount』いずれの呼称も 2026-06-10 時点で確認できません。本サイトでは マウント方式は『Razer 公式 spec ページに記載なし』 とし、機能呼称(『Aluminum Top Plate』『dense foam layer』『Thick Foam Dampening』)の事実引用にとどめます。
SteelSeries Apex Pro TKL Gen 3 — Enhanced Build Quality 公式
SteelSeries も Apex Pro Gen 3 シリーズの公式 spec ページで、マウント方式の呼称を直接表記せず、『Enhanced Build Quality』として 3 層構造の sound-dampening foam を強調しています(SteelSeries Apex Pro Gen 3 公式)。
『New stabilizers eliminate keycap wobble and elevate your typing experience with added triple-layer sound-dampening foam, and per-key lubrication to make your keypresses sound better than ASMR and feel smoother than your last triple kill.』
SteelSeries 公式 spec も 『gasket mount』『tray mount』『top mount』のいずれも 2026-06-10 時点で記載が確認できません。本サイトは マウント方式は『SteelSeries 公式 spec ページに記載なし』 として扱い、機能呼称(『triple-layer sound-dampening foam』)のみ事実引用します。
公開粒度の差 — 4 社並べてわかること
同じ「マウント方式」というカテゴリでも、メーカーごとに公開粒度が明確に分かれます。
| メーカー / 機種 | マウント方式の公式呼称 | 構造材の公式表記 | プレート材の公式表記 |
|---|---|---|---|
| Keychron Q1 Pro | 『Double Gasket Design』(ガスケットマウントを 2 段化) | Poron gasket + silicone pads between top and bottom cases | flexible PC (Polycarbonate) plate(公式オプション) |
| Wooting 80HE | 『Gasket Mount』(silicone gasket で PCBA + switch plate を一体ホールド) | silicone gasket + EPDM dampening foam + Poron sandwich pad | Polycarbonate (PC) switch plate(標準) |
| Razer Huntsman V3 Pro 8KHz | 公式 spec に表記なし(『Aluminum Top Plate』の機能呼称のみ) | dense foam layer / Thick Foam Dampening | Aluminum Top Plate(プレート材の素材表記) |
| SteelSeries Apex Pro TKL Gen 3 | 公式 spec に表記なし | triple-layer sound-dampening foam | プレート材の素材表記なし |
完成品ゲーミングキーボード市場では、マウント方式の呼称を公式 spec に書く流派(Keychron / Wooting)は、自作・カスタム界隈に近いメーカーに偏る 傾向があります。Razer / SteelSeries / Corsair / Logitech 等の 大手ゲーミング系メーカーは、マウント方式呼称ではなく機能呼称(『dense foam layer』『sound-dampening foam』)で打鍵感を語る のが多数派です。スペック比較で『gasket mount』表記がないことは『ガスケット非採用』と直ちに同義ではなく、公開粒度の差 と捉えるのが正確です。
用語の混同注意
マウント方式周りの用語は、英語メーカーページの表記と日本の店舗・メディア記事を照合する際に混同しやすいポイントを整理します。
| 混同しやすい組 | 違い |
|---|---|
| Gasket Mount vs Case Foam(ケースフォーム) | Gasket Mount は『プレートと筐体をやわらかい材で挟んで浮かす マウント方式』、Case Foam は『筐体内部の空洞反響を抑える 充填材』 で別レイヤ。両方を併用する機種も多い(Wooting 80HE = gasket mount + EPDM dampening foam が典型)。詳細は keyboard-case-foam-silicone-poron |
| Top Mount vs Tray Mount | Top Mount はプレートをトップケース側にネジ留め、Tray Mount はボトムケース側のスタンドオフにネジ留め。Top Mount の方が プレート単体の剛性が打鍵感に直結 する設計、Tray Mount は ボトムケースの剛性が直結 する設計 |
| Plate Mount vs PCB Mount | Plate Mount は『スイッチをプレートに保持』(スイッチの clip がプレートにかかる)、PCB Mount は『スイッチをプレートではなく PCB にもピンで保持』(5pin スイッチ)。マウント方式(筐体側)の話題とは別の『スイッチ側のピン数』の文脈で使われることもあり混乱しやすい |
| Double Gasket(Keychron 流) vs PCBA を一体クランプする gasket(Wooting 流) | Keychron 流はプレート側のガスケット + トップ/ボトム間のシリコンパッド の 2 段構造、Wooting 流はシリコン gasket でプレートと PCBA を一緒に挟む構造。同じ “Gasket Mount” 表記でも実装は別物 |
| Gasket Mount vs Soft-mount(柔らかいマウント) | Gasket Mount はガスケット材で『浮かせる』構造の呼称、Soft-mount はマーケティング上の柔らかさ表現 で同義とは限らない。Razer / SteelSeries の『dense foam layer』『sound-dampening foam』は マウント方式呼称ではなく機能呼称 |
マウント方式が打鍵感に与える影響 — 業界一般理解の整理
マウント方式は打鍵感に大きく影響するとされますが、マウント方式単独では打鍵感は決まりません。下記はあくまで 業界一般理解 であり、編集部実機計測値ではありません。
| 要素 | 一般的に言われる傾向(業界一般理解) |
|---|---|
| 剛性の高さ | Tray > Top > Gasket の順で、Tray が最も剛性的・Gasket が最もしなる傾向と一般に言われます |
| 打鍵音の均一さ | Top / Gasket は キー位置によらず均一に近い 傾向、Tray は ネジ位置と離れた場所で音が変わりやすい 傾向と一般に言われます |
| 底打ち感 | Gasket は 底打ちで微小に逃げが出て『柔らかい』 方向、Top / Tray は 底打ちが固く返る 方向と一般に言われます |
| 音の方向 | Gasket は 『thock』寄り(低音寄り)、Tray は 『clack』寄り(金属共振寄り)に振れやすいと一般に言われます。プレート材(PC / アルミ / 真鍮 / FR4)で大きく変わる |
上記は 業界一般傾向の整理 であり、個別 SKU での打鍵感はスイッチ・スタビ・キーキャップ・ケースフォーム・キーボードレイアウトとの複合 で決まります。本サイトはマウント方式単独での打鍵感計測を行っていません。試打を強く推奨します。
マウント方式選定時の確認 5 項目
完成品ゲーミングキーボードを購入する際の 公式 spec 確認項目 をまとめます。
- マウント方式呼称の有無 — 公式 spec に『gasket mount』『tray mount』『top mount』『Double Gasket Design』等の 呼称が明記されているか(明記されていない場合は『公開粒度が低い』と理解する)
- プレート材の素材表記 — 『aluminum / polycarbonate (PC) / brass / steel / FR4』のうちどれか。プレート材は打鍵感の方向(剛性・吸音性)に直結
- ガスケット材の素材表記 — 『silicone gasket / Poron gasket / EPDM gasket』等の 素材種開示(ケースフォーム素材整理)
- ケースフォームとの併用 — gasket mount の場合でも、Wooting 80HE = gasket + EPDM、Keychron Q1 Pro = double gasket + 各種 Poron foam のように マウント方式と別レイヤでフォームを併用 している例が多い
- スタビライザーの取り付け方式 — PCB-mounted screw-in / plate-mounted の表記。マウント方式の柔軟性をスタビが殺すケースもある(剛性の強いスタビ × gasket のしなりがミスマッチになる場合)
完成品ゲーミングキーボードの公式 spec ページに これらの全項目が明記されている例は少数派 で、機能呼称(『dense foam layer』『sound-dampening foam』『Aluminum Top Plate』等)どまり が多数派です。打鍵感の好みが明確で構造レベルで詰めたい場合は、Keychron / Wooting のように マウント方式呼称+素材+層構成を全部開示する流派 から選ぶのが現実的です。スイッチ軸(リニア / タクタイル / クリッキー / 磁気スイッチ / ロープロファイル)や キーキャップ プロファイル と組み合わせて、打鍵感は『構造 × スイッチ × キャップ × スタビ × フォーム』の複合で決まる ことを前提に選定してください。
選び方・ランキングで活用する
参照元(一次ソース)
本用語の説明は次の一次ソース(規格団体・メーカー公式資料など)を参照しています。
- 出典: Wooting 80HE 公式(『The PCBA and switch plate are held together by a silicone gasket. This absorbs impact, resulting in less noise and a softer feel when you type.』『The Polycarbonate (PC) switch plate softens the overall typing experience by muting more of the higher frequencies and placing an emphasis on thock』『1× EPDM dampening foam layer』を明示)
- 出典: Wooting『Wooting 80HE - Gasket mount explained』公式ブログ(80HE の gasket mounting system を Wooting 自身が解説)
- 出典: Keychron Q1 Pro QMK/VIA Wireless Custom Mechanical Keyboard 公式(『Double Gasket Design』『gaskets on the plates』『silicone pads between the top and bottom cases』『flexible PC (Polycarbonate) plate』を明示)
- 出典: Keychron Q1 V2 公式(Double Gasket Design + PC プレートオプションを明示)
- 出典: Razer Huntsman V3 Pro 8KHz 公式『OPTIMIZED KEYSTROKE FEEL』(『each switch is seated in a dense foam layer to ensure a clean, muted typing acoustic』+ 『Aluminum Top Plate』を明示)
- 出典: SteelSeries Apex Pro TKL Gen 3 公式『Enhanced Build Quality』(『triple-layer sound-dampening foam』を明示/マウント方式は spec ページに非掲載)