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Resizable BAR / Smart Access Memory(ReBAR / SAM)

Resizable BAR(ReBAR)は、PCI Express の Base Address Register(BAR)サイズを起動時に可変化することで、CPU から GPU の VRAM 全域へ直接アクセスできるようにする PCIe 機能。AMD は同等機能を Smart Access Memory(SAM)として商標化し、Ryzen 5000/3000 系 + Radeon RX 6000 系 + 500/400 系チップセット組み合わせで公式サポート。NVIDIA は 2021-03-30 公開の GeForce News で GeForce RTX 30 シリーズ向けに公式サポートを発表し、Intel は Arc A シリーズに対し『Resizable BAR is required to get a good experience with Intel® Arc™ hardware』と公式に明言。本ページでは AMD GPUOpen / NVIDIA GeForce News / Intel Gaming(game.intel.com)の公式ドキュメントを出典に、3 ベンダーの公開粒度の差を整理します。

GLOSSARY

用語の概要

別表記 Resizable BARReBARRe-Size BARResizable Base Address RegisterAMD Smart Access MemorySmart Access MemorySAMリサイザブル BARリサイザブルバースマートアクセスメモリBAR1PCIe BARAbove 4G DecodingCSM disable

関連用語
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DEFINITION

解説

Resizable BAR(リサイザブル BAR / ReBAR) は、PCI Express の Base Address Register(BAR) のサイズをシステム起動時に可変化するための PCIe 標準機能で、これにより CPU 側から GPU の VRAM 全域に対して直接アクセス できるようになります。従来の固定 256 MiB のアパーチャ(aperture)越しに小さく区切って GPU メモリへアクセスしていた経路を、VRAM 全域を一度にマップ できる経路へ拡張するのが本機能の本質です。

AMD は同等の機能をブランド名 Smart Access Memory(SAM) として展開しており、NVIDIA は GeForce RTX 30 シリーズ以降で Resizable BAR という PCIe 標準名のまま提供、Intel も Arc A シリーズ以降で Resizable BAR という呼称で提供しています。3 ベンダー共通の PCIe 標準機能 を、ブランド側の呼称・公開粒度が異なるかたちで実装している、というのが現状です。

本ページでは、3 ベンダーの 公式ドキュメントに出ている事実 のみを出典付きで整理し、性能差・対応タイトル数・ベンチマーク数値の 横並び優劣比較は行いません。実機での fps 計測・Frametime 計測は本サイトでは一切行っていないため、性能影響については各メーカーが公式に表明している範囲を verbatim で引用するに留めます。

AMD: Smart Access Memory(SAM)= Resizable BAR ベース

AMD は Smart Access Memory(SAM) を、Resizable BAR(ReBAR)をベースにした ブランド名付き機能 として公式に展開しています。AMD GPUOpen の技術解説『How to get the most out of Smart Access Memory』(2021-06-15 公開)は、SAM と Resizable BAR の関係を次のように説明しています。

『With the introduction of Smart Access Memory (SAM), the CPU now has direct access to all video memory.』

― AMD GPUOpen『How to get the most out of Smart Access Memory』

『With SAM, recent hardware supports resizing this memory segment to cover the entire framebuffer, based on a standard PCIe® function commonly called Resizable BAR or ReBAR.』

― AMD GPUOpen 同記事

つまり AMD は 「SAM = AMD ブランドでの呼称」「実装は PCIe 標準の Resizable BAR / ReBAR」 という関係を公式に位置づけています。GPUOpen の同記事はさらに、BAR メモリの CPU から見た振る舞いについても次のように明示しています。

『BAR memory works similarly to UPLOAD memory from the CPU’s perspective – it is uncached and write-combined.』

― AMD GPUOpen 同記事

これは、SAM / ReBAR を介して CPU が VRAM に書き込む際の キャッシュ挙動が UPLOAD ヒープ(DirectX 12)に近い ことを公式に示したものです。GPUOpen はあわせて、DirectX 12 ドライバが UPLOAD ヒープへのアロケーションを BAR 側に置き換える最適化 を行えること、Vulkan アプリケーションが従来の小さなアパーチャ制約から解放されることに言及しています。

AMD 公式の SAM 動作要件

AMD は SAM のサポート要件として、複数の公式チャネル(AMD.com / Radeon ドライバリリースノート)で 「AMD Ryzen 5000 シリーズ または Ryzen 3000 シリーズ CPU(一部 APU 除外)」「Radeon RX 6000 シリーズ GPU」「AMD 500 シリーズチップセット(後に 400 シリーズも対応)」 を挙げています。本サイトとしては Ryzen / Radeon 各世代の正確な対応リストは AMD の最新ドライバリリースノート・サポートページを 必ず直接参照 してください、という前提で取り扱います(モデル単位の対応はドライバ更新で変わるため、本ページでは型番リストの記載は行いません)。

NVIDIA: Resizable BAR(PCIe 標準呼称のまま)

NVIDIA は 2021-03-30 公開の GeForce News『GeForce RTX 30 Series Performance Accelerates With Resizable BAR Support』で、GeForce RTX 30 シリーズ に対して Resizable BAR を公式サポートする旨を発表しています。

対応 CPU・対応チップセット(NVIDIA 公式表記)

NVIDIA の同アナウンスは、Resizable BAR の有効化条件を次のように verbatim 明示 しています。

『Resizable BAR requires CPU and motherboard compatibility, and a Resizable BAR SBIOS update.』

― NVIDIA GeForce News 2021-03-30

具体的なプラットフォームとしては、AMD 400 シリーズ(Zen 3 Ryzen 5xxx CPU 対応マザーボード) および AMD 500 シリーズ(Ryzen 5xxx 各 SKU 対応)、Intel 側は Z490 / H470 / B460 / H410(10th Gen)11th Gen 系チップセット全般(2021-03-30 時点)を公式に列挙しています。

初期対応タイトル(NVIDIA Game Ready Driver による有効化)

NVIDIA は 2021-03-30 アナウンス時点で 17 タイトル を初期対応として挙げ、以降は Game Ready Driver の更新ごとに対応タイトルを追加すると公式に表明しています。

『As we identify additional titles that benefit from Resizable BAR, we’ll introduce support via Game Ready Driver updates.』

― NVIDIA GeForce News 2021-03-30

これは AMD SAM が 基本的に常時有効 として動作するのに対し、NVIDIA 側は タイトル単位のホワイトリスト方式(Game Profile による有効化) を採っているという、ベンダー間の運用上の差を示しています。

NVIDIA 公式が表明している性能影響

NVIDIA は同アナウンス内で、Resizable BAR の性能影響について 正の影響だけでなく負の影響も起こり得る ことを公式に併記しています。

『In our testing, we’ve found some titles benefit from a few percent, up to 12%. However, there are also titles that see a decrease in performance.』

― NVIDIA GeForce News 2021-03-30

『NVIDIA will be pre-testing titles and using game profiles to enable Resizable BAR only when it has a positive performance impact.』

― NVIDIA GeForce News 2021-03-30

つまり NVIDIA はタイトル別の Game Profile による有効化 を、「常時有効化すると一部タイトルで性能低下が起こり得る」 ことの公式根拠として説明しています。本サイトはこの NVIDIA 公式表記をそのまま引用し、「ReBAR 有効 = 必ず fps が伸びる」という断定的主張は行いません

Intel: Resizable BAR = Intel Arc の最適動作要件

Intel は Intel Gaming 公式記事『Resizable BAR on Intel® Arc™ Graphics』(game.intel.com / 2022-08-12 公開)で、Resizable BAR を Intel Arc A シリーズの最適動作要件として明示 しています。

『Resizable BAR is required to get a good experience with Intel® Arc™ hardware.』

― Intel Gaming『Resizable BAR on Intel® Arc™ Graphics』2022-08-12

Intel は同記事で、対応プラットフォームとして 「Intel Core 10th Gen 以降」 および 「AMD Ryzen 3000 シリーズと全 Ryzen 5000 シリーズ CPU」 を挙げ、有効化は マザーボード BIOS 設定で実施 する旨を公式に説明しています(具体的な BIOS 項目名はメーカー / モデルにより異なるため、必ずマザーボード公式 BIOS マニュアルを参照してください、というのが Intel の案内です)。

AMD SAM / NVIDIA ReBAR との温度感の差

3 ベンダーの公式表記を並べると、「ReBAR は Intel Arc にとって必須レベルの動作要件」「AMD SAM は対応ハードウェアで常時有効化される付加機能」「NVIDIA ReBAR は対応タイトルで Game Profile 経由で有効化される付加機能」 という、有効化の温度感の差 が公式ドキュメントから読み取れます。本サイトはこの 3 段階の差を、ベンダー側の公式説明の そのままの引用 として整理しています。

3 ベンダー公開粒度の横並び比較

ベンダー公式呼称公開粒度公式の温度感
AMDSmart Access Memory(SAM)ブランド名 + PCIe 標準呼称(Resizable BAR / ReBAR)の両方を併記対応ハードウェア組み合わせで自動有効・常時有効化が前提
NVIDIAResizable BARPCIe 標準呼称(独自ブランド名なし)Game Ready Driver の Game Profile で タイトル単位 に有効化
IntelResizable BARPCIe 標準呼称(独自ブランド名なし)Arc A シリーズに対し 『required to get a good experience』 と公式明言

注意: 上表は 3 ベンダーの公式ドキュメントに verbatim で出ている事実 のみを横並びにしたもので、「どれが最も性能向上が大きいか」「どれが最も簡単に有効化できるか」という優劣判定は 本サイトでは行いません。性能影響は CPU / GPU / メモリ / マザーボード / OS / ドライババージョン / タイトル / 解像度 / 描画 API の組み合わせで大きく変動するため、ベンダー単位の単純比較は適切ではないと考えます。

有効化に必要な前提(一般論)

本サイトでは特定マザーボード・特定 BIOS バージョンでの有効化手順は 取り扱いません(モデル数が膨大で、本サイトの編集体制ではマザーボード単体での実機検証ができないため)。3 ベンダー公式が共通して挙げている 一般的な前提 のみ整理します。

  1. CPU が対応世代であること: Intel Core 10th Gen 以降、または AMD Ryzen 3000 / 5000 シリーズ以降(Ryzen 3000 系の APU で除外モデルがある旨は AMD 公式に明示あり)。
  2. マザーボード BIOS / SBIOS が対応していること: AMD 400 / 500 系、Intel Z490 / H470 / B460 / H410 を含む 10th / 11th Gen 以降のチップセットでマザーボード側 BIOS 更新が必要な場合があります。
  3. GPU 側 VBIOS / ドライバが対応していること: GeForce RTX 30 シリーズは VBIOS と R465 以降のドライバが必要だと NVIDIA 公式が明示。Radeon RX 6000 系・Intel Arc A シリーズは出荷時から対応。
  4. UEFI モードでの起動と Above 4G Decoding 系設定: 多くのマザーボードベンダーが BIOS 内で Above 4G Decoding および Re-Size BAR Support を有効化する手順を公開しています(実際の設定項目名はマザーボードベンダー側ドキュメント参照)。

上記いずれも本サイトの編集部が 個別のマザーボード型番ごとに実機検証して確認した手順ではなく、各ベンダー公式ドキュメントに記載されている 一般要件 の整理である、という前提で扱ってください。

VRAM 容量・GPU クラス選びとの関係

ReBAR / SAM は VRAM 容量そのものを増やすわけではなく、既存の VRAM への CPU からのアクセス経路を変えるだけの機能です。したがって、GPU の VRAM 容量自体が足りない状況(高解像度 + 高品質テクスチャ + レイトレーシング有効など)では、ReBAR を有効化しても根本的な VRAM 不足は解決しません。

実用上の優先順位としては、本サイトでは以下のように整理しています(これは ReBAR 自体の優劣ではなく、選定時の考え方の整理 です)。

  • GPU 自体のクラスGPU クラス)と VRAM 容量VRAM / GPU メモリ)が、解像度 + 描画設定に対して十分かを 先に 確認する。
  • 次に CPU 世代 / コア構成CPU コア構成 / 3D V-Cache)と マザーボードチップセットマザーボードチップセット)が、ReBAR / SAM の対応条件を満たすかを確認する。
  • ReBAR / SAM は VRAM 容量・GPU クラス・CPU 世代がすでに十分なシステムに対して、追加で 0〜12% 程度(NVIDIA 公式表記)の性能変動をもたらし得る付加機能 という位置付けで扱う。

重要: 「ReBAR 有効化で fps が必ず伸びる」「ReBAR 非対応 PC は今すぐ買い替えるべき」といった断定主張は、3 ベンダー公式ドキュメントのどれにも書かれていません。本サイトもこの種の断定は行いません。

紛らわしい用語との切り分け

用語何の機能か本機能との関係
Resizable BAR / ReBARPCIe 標準: BAR サイズを起動時に可変化本機能(PCIe 仕様側の呼称)
Smart Access Memory(SAM)AMD ブランド: ReBAR をベースにした AMD 公式呼称本機能の AMD ブランド名
Smart Access Storage(参考)AMD ブランド: DirectStorage 系ストレージ最適化別機能(GPU と NVMe SSD の関係であり、本ページの ReBAR とは別レイヤ)
Above 4G DecodingUEFI / BIOS 設定: 4GB を超える PCI アドレス空間のデコードを許可ReBAR の 前提条件 として有効化が必要な BIOS 項目
DirectStorage / RTX IOMicrosoft / NVIDIA: NVMe SSD → GPU の高速ストリーミング別機能(ストレージ → GPU 直送の話で、CPU → GPU VRAM の ReBAR とはレイヤが異なる)

特に Smart Access Memory(CPU ↔ GPU の話)Smart Access Storage(SSD ↔ GPU の話)AMD ブランド名が似ているだけで完全に別機能 です。本サイト内で混同しないよう、本ページでは前者のみを扱います。

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出典

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